暗いブルーの光が床の上にゆらゆらと不規則な影を落とし、水の循環する低い重低音だけ... #エッセイ

暗いブルーの光が床の上にゆらゆらと不規則な影を落とし、水の循環する低い重低音だけが不変のテンポで響いている、夜の静まり返った水族館の巨大な水槽の前。

ひんやりとしたアクリルガラスの前に立ち、水のなかの圧倒的な静寂と、名もなき魚たちが光の筋をかすめていく様子を、ただぼんやりと見つめている凪の時間。

頭の中に組み立てた理想のあらすじ通りに物事が進まず、自分の現在地や未来の輪郭が曖昧にぼやけているとき、自らを「決断力のない不良品だ」とセルフジャッジで痛めつけてはいまいか。

暗闇の現像液のなかに浸された映画のフィルムが、長い時間をかけてゆっくりと像を結んでいく、あの途中の形の定まらない淡い影の美しさ。

形がはッキリしない未完成の状態を「不安だ」「バグだ」と頭のロジックで冷酷に品定めして、無理やりつじつまを合わせようと自分を激しく急かすのをやめにする決意。

何が自らの内側から浮かび上がってくるのかを、頭の理屈でコントロールしようと急がずに、ただ自らの生命のプロセスを全面的に信頼して静かに待つ、受容的な Being の長大な時間軸。

他人に理解されるための流暢な説明をそっと地面に手放し、人生の操縦桿を自分の手へと完全に取り戻した、静かな凪の海のような実存の自治。

「私は私、あの人はあの人」と冷たい水でそっと両手を洗い流し、自らの心のドアの鍵をカチッと強固に確かめる。

重心がお腹の底にどっしりと安定するとき、外敵を警戒して一日中強張っていた背中の筋肉は、あの時の不揃いな形のままで完璧に守られている……

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