土壁から剥がれ落ちた古い漆喰の埃っぽい匂いと、日中に太陽の熱を吸い込んだ藁の香り... #エッセイ

土壁から剥がれ落ちた古い漆喰の埃っぽい匂いと、日中に太陽の熱を吸い込んだ藁の香りが微かに残る、初冬の夕暮れ時の誰もいない寂れた農家の納屋の片隅。

衣服の繊維が擦れ合うササァという小さな摩擦音を皮膚の表面でありありと確かめながら、使い込まれて毛先が不揃いに擦り切れた、壁の隅にひっそりと立てかけられた古い竹箒の佇まいを、じっと見つめている時間。

誰かの期待に応える都合の良いエキストラを演じ終えたあとの、背中の中心あたりが、重く冷たく沈んでいるような割り切れなさの質量。

早くすっきりさせようと、外側の安易な娯楽や忙しさという名のDoing(操作)で無理やり誤魔化すのを、今日、自らの明確な意思きっぱりと止めにする境界線の引き方。

他人が勝手に用意した幸福のコピーを心の門の外へドスンと降ろし、人生の操縦桿を他者から自分の手へと完全に取り戻した、静かな実存の夜明け。

骨盤が床へとどっしり接地する確かな接地感を感じながら、ただ不完全な現在のままで佇む Being の絶対的な安全基地。

このブログの人気の投稿

選択のまばたき

長年使い込まれてエッジの尖った...

佇まいの聖域