おがくずの乾いた匂いが作業場いっぱいに漂い、挽き割られたばかりの生々しい杉の木の... #エッセイ

おがくずの乾いた匂いが作業場いっぱいに漂い、挽き割られたばかりの生々しい杉の木の香りが鼻腔を鋭く刺す、晩秋の製材所の片隅。

木屑の山の上に腰掛け、ズボンの薄い布地を通して伝わる木の破片の不規則なチクチクとした硬さを肌の表面でありありと確かめている、世界から隔絶されたシェルターのなか。

すべての葉を落とし終え、ただ静かに佇んでいる冬の並木道の木肌の、あの触れるとひんやりと冷たい物理的な硬さの質感。

自らの胃の腑の底に溜まる割り切れない哀しみを整理するための「正しい教科書」や、他人が作った幸福のコピーなんて、世界のどこを探しても存在しないのだと、大気の静けさが教えてくれます。

「普通はこれくらいの時間で前を向くものだ」という顔のない世間のルールブックをきっぱりと拒絶し、あなたの不揃いな歩幅で、あなた自身のインクで、その痛みの軌跡をノートに丁寧に辿っていく自治の姿。

他人に理解されるための流暢な説明をそっと地面に手放し、人生の操縦桿を他者から自分の手へと完全に取り戻した、静かな実存の夜明け。

「がんばらなくても、私はここに私のままで存在していいのだ」と、みぞおちの冷たい硬直を温めるように深く、長い息を吐き出すセルフケア。

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