誰もいない真夜中の無人のコインランドリー、大型乾燥機の排気口から吐き出される生温... #エッセイ

誰もいない真夜中の無人のコインランドリー、大型乾燥機の排気口から吐き出される生温い熱風の空気と、乾いた合成洗剤の独特な香料の匂いが狭い店内に満ちている。

プラスチック椅子のひんやりとした硬さを太ももの裏でありありと感じながら、ガラス窓の向こうで洗濯物が重力に従って何度も何度も下に落ちる様子を、ぼんやりと見つめている時間。

他人の些細な目線の動きや不機嫌なため息、あるいはちょっとしたミスに対しては「大丈夫だよ、人間だもの」とどこまでも優しくなれるのに。

いざ自らが不条理な失敗を犯した瞬間、頭のなかに冷酷な裁判官を呼び出しては「なんて無能で価値のない不良品なんだ」と、自らをエラー製品のように過酷に品定めしてしまう心の強い癖。

他人に裁かれて致命傷を負う前に、あらかじめ自分で自分を罰しておくことでそれ以上の崩壊を防ごうとする、自律神経系が必死に敷いてくれた切ない防衛の反転なのだと思います。

その不当で歪んだ法廷を、今日、自らの明確な意思によって、そっと閉廷にしよう。

誰の期待にも沿わず、何の成果も証明しない不器用な現在の私のままでいいのだと、人生の所有権を自分の手へと完全に取り戻す自治の姿。

一番苦しんで胸の奥をきゅっと縮こませているいまの私の冷え切った手を、大人の私が世界でいちばん優しく、無条件の温もりで握りしめる、不当な法廷の閉廷。

このブログの人気の投稿

選択のまばたき

長年使い込まれてエッジの尖った...

佇まいの聖域